キソジオンライン
この実験では参加者に音声ファイルを聞かせて、それが「ば(ba)」と聞こえたか「ぱ(pa)」と聞こえたかを判断させます。
実験を始めると下のような画面が表示されます。
「再生」ボタンをクリックすると音声刺激が呈示されます。音声刺激は一度だけ聞くことができます。再生後、画面下部の「次へ」ボタンを押してください。
音声刺激は全部で24種類あり、0から23の番号が割り振られています。 それぞれの刺激は、破裂開始から声帯振動開始までの時間の長さである Voice Onset Time (VOT; Lisker & Abramson, 1964) が異なります。0 は VOT = -30 ms の刺激で、刺激番号が 1 増えるごとに刺激のVOTは 5 ms 長くなります。以下の表をご参照ください。
ファイル番号 | VOT (ms) |
---|---|
0 | -30 |
1 | -25 |
2 | -20 |
(中略) | (中略) |
20 | 70 |
21 | 75 |
22 | 80 |
23 | 85 |
負の(マイナスの)VOTは、破裂の開始より声帯振動が先に起こっていることを示しています。
実験刺激である音声ファイルは、Praat (Boersma & Weenink, 2019) を用いて作成しました。また、VOTの操作は、Dr. Jessamyn Schertz が公開している Synthesis -> klatt_synthesize_vot_f0_series.praat のスクリプトを使って行いました。
音声の長さは319 msです。母音部の始端部と終端部の基本周波数 (F0) は100 Hzです。
最初の24試行は練習試行で、すべての刺激を1回ずつ聞くことになります。
その後本試行が始まります。以下のリンクの本試行ではそれぞれの刺激が5回ずつ呈示されます。全部で120試行です(練習試行を含まない)。24試行ごとに休憩のためのメッセージが呈示されます。
Shimizu (1977) によれば、日本語母語話者の「ば(ba)」と「ぱ(pa)」の弁別の境界は、VOT = 18 ms です。VOTが正の方向に大きいほど「ぱ(pa)」と聞こえる割合が高くなると予測されます。
反応時のキーのカウンターバランスをとるようにしています。
本試行の繰り返し回数は次のようにして変更することが可能です。 実験画面のURLを見ると、
constant_method.html?counterBalance=1&repeat_num=5
のようになっているかと思いますが、repeat_num の後の数字(5)が本試行の繰り返し回数です。
実験が終了したときにCSVファイルとして保存されます。ブラウザによって自動保存されたり、保存のための小さなウィンドウが表示されたりします。
実験プログラムはjsPsychを使って作成されています。その関係で、分析とは直接関係のないデータも出力されています。
各列については次の通りです。
エクセルのフィルター機能を使って、phase_info = 1 のデータだけを抽出すると分析がしやすいです。
エクセルやRを使って、横軸をVOT、縦軸を「ば(ba)」と答えた割合とした心理物理関数を作成してください。5回の繰り返し回数では少ないかもしれませんが、オンライン実験では試行数を多くしすぎると別の問題(集中力の低下、マジメに参加しないなど)が生じる恐れがあります。なお、ここでは閾値を求めるためのスクリプトは公開しておりません。ご了承ください。
ロジスティック回帰でpaとbaの弁別閾値を計算します。
最小VOT+刺激番号xVOT間隔
で計算できます。上記の刺激では、VOTが5 msきざみになっています。知覚的感受性が高い場合、5 msきざみは大きすぎるかもしれません。以下のURLでは、VOTが2 msきざみの刺激設定になります。
ファイル番号 | VOT (ms) |
---|---|
0 | -4 |
1 | -2 |
2 | 0 |
(中略) | (中略) |
20 | 36 |
21 | 38 |
22 | 40 |
23 | 42 |